Vol. 01
1. 動きながら、考える。

角田 どうもこんにちは。
twelvetoneの角田(ツノダ:写真左)です。
治田 TENTの治田(ハルタ:写真中央左)です。
田久保 グラフィックデザイナーの田久保(タクボ:写真中央右)です。
青木 TENTの青木(アオキ:写真右)です。

治田 この場所 idontknow.tokyo は、それぞれ独立したデザイナーである僕たちが協力して新しい商品を作るアイドントノウ というプロジェクトのWebサイトです。
角田 アイドントノウ。つまり、「僕たちは本当は、まだ何も知らない」をテーマに、知っていると思っていることも、知らないと思って、ゼロから作り上げるというね。
田久保 今回も、そもそも僕たちがその新商品を作ろうと思ったきっかけや、その開発プロセスについてたっぷりお話ししていきましょう。
青木 これまでに公開された記事については、この目次からどうぞ。

考える道具を考える
第1弾製品 HINGE(ヒンジ)の開発のきっかけやプロセスについてお話しています。

考えるゲームを考える
第2弾製品 CUBOID(キューボイド)の開発のきっかけやプロセスについてお話しています。

考えるサイズを考える
第1���製品 HINGE(ヒンジ)の新しいサイズ展開について、ユーザーの方の声や開発プロセスについてお話ししています。
1.ひらめきのタイミング
青木 ということで、「考える道具を考える」HINGE、そして「考えるゲームを考える」CUBOIDと、製品を次々発表した我々ですが。
角田 考えること、アイデアを生むことに関わる製品を作ってきたわけですけど、次は何をつくりますかという話からいきましょうか
治田 では僕からみなさんに1つ質問があります。
田久保 質問ですか、はい。
治田 アイデアがひらめく瞬間ってあるじゃないですか。みなさんは、どういう時にひらめくことが多いですか?

青木 シャワー浴びてるときとか、よくありますね。
角田 HINGE A6 のときにも少し話したけど、手ぶらで散歩中とかがけっこうあるかなー
田久保 僕も歩いている時とかありますね。電車や車で移動中にもあるかな。
青木 移動中、たしかに。
僕は自転車通勤しているので、自転車に乗っていてひらめくこと、あります。
治田 僕も自転車に乗ったり、電車に乗ったり、歩いたり。いろんな移動手段を使って通勤していて、そういう時にアイデアを閃くことが多いんです。
でもそれで1つだけ困ったことがありまして。

田久保 困ったこと。
治田 はい。それは、バッグについてなんですけど。
角田 バッグについて。ふむふむ。
治田 僕はもともとトートバックが好きで、社会人になってからずっとトート派だったんです。でも自転車に乗る時にはトートバッグだと成立しないんですよ。
青木 たしかにカゴのない自転車の場合には、肩にかけるしかない。そしてズレ落ちちゃいますよね。
治田 それでリュックを探してみたんですけど、トートと比べると大げさなものが多くて。2WAYバッグというのも探して使ってみたんですけど、それもどっちつかずというか、中途半端なんですよね。
角田 ベルトがわしゃわしゃになってたりとか。
田久保 HINGE(ヒンジ)の時も話題になりましたけど、そういうちょっとしたストレスも思考の妨げになりがちですよね。
治田 そうです。視覚的なノイズは極力省きたい。なので、どの状態でも綺麗にまとまっている2WAYバッグみたいなものがあればいいんですけど、なかなかそういうのは無くって。

治田 あと、リュックも2WAYバッグも、数多くポケットがついていたりするじゃないですか。あれもどうも苦手で。
青木 ポケットが多すぎると、どこに入れたか忘れて後から探すのが大変になること、僕はよくあります。
角田 そうそう。「どこに入れたっけ?」って覚えとくために、脳の容量を使いたくないんだよね。
田久保 たしかに最近はスマートフォンなどのデバイスが進化したおかげで普段はそれほど沢山の物を持ち歩かないので、ポケットは少なくてもいいかもしれないですね。
角田 それはあるかも。じゃあちょっと、みんな普段はどれくらいの荷物を持ち歩いているのか。見てみましょうか。
治田 いいですね。見てみましょう。
それではまずは僕からいきますよ。

Vol. 02
2. 理想のハンドルを探して。

2.バッグの中身を見てみよう
角田(ツノダ) 第3弾はバッグをつくることに決めたとして、じゃあまずは、みんな普段はどれくらいの荷物を持ち歩いているのか。見てみましょうか。
治田(ハルタ) いいですね。見てみましょう。
それではまずは僕からいきますよ。

治田 僕はいくつもトートバッグを持ってるんですが、基本的にはこういうシンプルなトートバッグを使ってます。
田久保(タクボ) 黒い、いわゆる「トートバッグ」って感じのものですね。 では中身も見せてください。

角田 でたね、HINGE。あとはイヤホン、ラムネケース、財布、名刺入れ、鍵、水筒、と、ペンケースですかね。
治田 これはペンケースなんですけど、僕の場合は薬とか細かいものをこのペンケースに入れてますね。
青木(アオキ) なるほどー。これに加えて、ズボンのポケットにスマートフォンがあるって感じですかね。
治田 そうですね。僕は以上です。
田久保 結構少ないですねえ。それでは次は僕いきましょうか。

田久保 僕は最近は、こんなリュックを使っています。
角田 なかなかゴツめのリュックだね。
治田 では、中身の方はどうですか

角田 HINGE A5 きたね。さすがA5推し。
治田 あとはMacBookと、デジタルカメラ、名刺入れ、財布、モバイルバッテリー、ペン、ですね。
青木 デジタルカメラを持ち歩いてるんですね。
田久保 そうですね。iPhoneでも撮るんですけど、デジタルカメラで撮るのもいいなあと思って、最近は持ち歩くようにしてます。
青木 リュックが大きい割に、中身はけっこう少ないんですね。そうなる気持ち分かるなあ。
じゃあ次は僕の番。

青木 僕はこんなリュックを使ってます。シンプルな見た目が気に入って最近買ったばかりなんですけど、すごいんですよコレ。中に仕切りとかポケットが沢山あるんです。

角田 それって、青木さんアカンやつやん。
青木 そうなんです!ポケットが多すぎて、どこに何を入れたのか分からなくなるやつ。
治田 気が利きすぎて、逆に使いこなせないというか。
田久保 出張の時なんかは、こういう仕切りやポケットも便利なんですけどね。
青木 そうですね。歯ブラシ、着替え、仕事道具、とか沢山持ち歩くときは便利なんですけどね。
って前置きが長くてすみません、中身を出しますね。

角田 急にカラフルになったね。
田久保 青木さんはHINGEはA4派なんですね。
青木 平日はやっぱりA4を使いますね。あとはモバイルバッテリー、名刺入れ、良い香りのするスプレーと、財布、鍵、ラムネケース。
治田 そしてトローチがむき出し。
青木 はい。薬がそのまま入ってたりします。あとはたまにMacBookが入るくらい。
角田 使ってるリュックの大きさに対して、また随分と中身が少ないね。
それじゃあ最後は僕の番かな。

角田 僕はもともとトートバッグ派だったんだけど、MacBookを持ち歩くようになってからは、こんなリュックを使ってます。
治田 中身いってみましょう

角田 MacBookとHINGEとCUBOID。あとは名刺入れ、マウス、ACアダプターですね。
田久保 マウスケースかわいいですね。
治田 HINGEに貼ってあるYOKAのシールもいいなあ。
青木 角田さんも結構、カバンのわりに持ち物少ないじゃないですか。
角田 まあね。これだけあれば十分だからなあ。

治田 そんなわけで、なんだか皆さん、持ち物が少なめですね。
角田 スマートフォンで何でもできるようになって、さらにHINGE(ヒンジ)ができたおかげで、毎日の持ち物がすごく減ったというのはあるよね。
青木 そうなんですよね。どんどん減っていってる気がします。 そう考えると、今の時代に合った毎日使えるバッグを、ゼロから作るべき時期なのかもしれない。
治田 なので、「自転車」「電車」「歩き」という移動手段の変化にもスっと馴染むのに、視覚的なノイズが少なくて、ポケットなども多くない。そんなシンプルなバッグを作りたいと思いまして。

田久保 シンプルだけど変化に適応するバッグ。難しそうですけど、実現すれば、すごく良さそうですね。
角田 アイドントノウ第3弾は、なんだかすごいバッ���。
いいね。それいっちゃおう!

まとめ
僕たちは、こんなバッグが作りたい!
・小分けやポケットの少ないシンプルな構造
・自転車でも電車でも歩きでもスッと馴染むような仕組み
・MacBookやHINGEなど必要最低限のものが入るサイズ
次回、いよいよ製品の全貌が明らかになるっ
Vol. 03
3. HANDLEという答え。

良いアイデアは
いつ思いつくことが多いですか?

徒歩や自転車、電車など。
移動しながら思いつくことも、ありますよね。
でもアイデアはとってもデリケートなもの。
せっかく浮かんだアイデアが、ふとしたきっかけで飛んでしまうことも。

そんな移動中の大切な思考を
妨げることのないように。
どんな移動スタイルでも身につけやすい
特別な仕組みを持った
シンプルなバッグをつくりました。

HANDLEは
思考の流れを遮らない
最もミニマルなバッグです。
角田 いやー、ついにでましたよ!すごいバッグが。
治田 一見すると、なんてことのないトートバッグなんですけどね。
青木 「自転車」「電車」「歩き」という移動手段の変化にもスっと馴染むのに、見た目も機能もシンプルなバッグですね。
田久保 それではお話を続けつつ、商品の詳しい紹介をしましょうか。

角田 あらためましてご挨拶から。
twelvetoneの角田(ツノダ:写真左)です。
治田 TENTの治田(ハルタ:写真中央左)です。
田久保 グラフィックデザイナーの田久保(タクボ:写真中央右)です。
青木 TENTの青木(アオキ:写真右)です。
これまでのお話をはじめから読みたい方はこちらの目次からどうぞ。
もくじ
1. ひらめきのタイミング
2. バッグの中身を見てみよう
3. 思考の流れを遮らない、最もミニマルなバッグ



治田 僕がまず気に入っているのは、この普通のトートバッグらしい見た目です。

田久保 本当にシンプルですよね。袋とハンドル、以上。

治田 ところがですよ。これにちょっと手を加えると
シュパッ!

治田 リュックになりました。
角田 なになに?なにがおきたの?
治田 なにが起きたのかは、秘密です。
角田 いやいや、教えてよ。

田久保 教えてくださーい。
治田 写真だけだとわからないですよね。
青木 動くやつでいきましょう。
治田 では、いきますよー。
角田 なるほどねえ!ハンドルの帯が動くことで、トートのときの帯とリュックのときの帯が兼用されているんだ。
青木 まだちょっとよくわかりにくいので、図解してみましょう。



田久保 帯の余り部分が移動する。ただそれだけの変化で、トートとリュックの両方を兼ね備えられるんですね。
角田 どちらの状態でも、余分な部品がないのがすごい。最小限の要素で2WAYを実現している。
青木 アイデアはすごいんですけど、実際の使い心地はどうですか?
治田 これがですね「使いやすい」を越えて「気持ち良い」と言ってしまって良いと思います。

青木 「気持ち良い」ですか。
治田 はい。とくにトートからリュックに切り替わる時が顕著なんですけど。
見ててくださいね。
肩から降ろしてハンドルを持つだけで、一瞬で切り替わります。
田久保 おおおお、、
気持ち良い!

青木 いやー、いいですね。でもここで、1ついいですか?
治田 どうぞ
青木 ここまで、我々おじさん達が持っている写真しかなかったんで、そろそろ女性が使うとどんな感じになるか、見たくないですか?
田久保 たしかに、たしかに。ではうちのアシスタントが女性なので、呼んでみましょう、おーい。
高橋さん はい、アシスタントの高橋(タカハシ)です。 こんにちは。
なんでしょうか。

角田 高橋さんどうも。いきなりですみませんけど、これ僕たちの新製品の、全く新しいバッグなんですけど。
高橋さん バッグ、、、ですね。

角田 うん。ではこのバッグを肩から下げてみようか!
高橋さん 肩から、、 こうですか

角田 いいねえ。いいよ。髪がフワッってなってる感じが、すごくいい!
青木 角田さん、髪の毛じゃなくて、バッグを見ましょうバッグを!
じゃあ次は、リュックにして背負ってみ���しょ。
高橋さん リュックに、、、、ああ、こうして

高橋さん こんな感じですか。

角田 そうそう。リュックもいいねえ!
青木 じゃあ次はちょっと外で撮ってみましょっか。
角田 そうだね。田久保さん、打ち合わせに行く前のTAKUBO DESIGN STUDIO のイメージで、二人でお願いしますよ。
田久保 了解です。じゃあいってみよう。

田久保 「えっと、次は20分後に恵比寿だから、、」
高橋さん 「あるいて行きますか」


角田 いいねえ!
田久保 やっぱりシンプルなバッグだから、男女関係なく使えそうですね。
治田 次は、ムービーも撮りますか?
角田 ムービー、いっちゃおう! それじゃあ高橋さん、
「事務所から、気合いの入ったプレゼンのために外出するぞ」 っていうイメージで。
高橋さん 気合いの入ったプレゼン、ですね。
高橋さん バッグが気持ちよく切り替わったので、つい自慢げにカメラ見ちゃいました。
角田 いやー、良い良い!高橋さんありがとうございます。
田久保 ありがとうねー。

青木 さてさて、手品みたいに一瞬で切り替わる、すごい2WAYバッグだということはわかりました。次はもうちょっと細かいところも見ていきましょっか。
Vol. 04
4. 完成まで。

青木(アオキ) 大好評で長らく在庫切れだった「手品みたいなバッグ」HANDLEが、ついに在庫復活いたしました。
治田(ハルタ) 予約していただいた方、長らくお待たせしてすみませんでした。
角田(ツノダ) 無事に届いた方、ご感想ありましたらお気軽に連絡ください。

角田 というわけで、今日はね、治田さんにすごい聞きたいことがあって。
治田 ないでしょ。
角田 いや、いっぱいあるんです。治田さんに聞きたいことが。
治田 なんでしたっけ

角田 僕はね、HANDLEについて、ずっと謎に思っていることがあるんです。HANDLEって機構がすごいじゃないですか。
青木 トートとリュックとが一瞬で切り替わる、あの仕組みですよね。
角田 そうそう。でね。あれを、いつ、どうやって思いついたのかってことですよ。
僕と青木さんとかは、だいたい作りながらいちいち周りの人に聞いて回りながらものを作っていく方じゃないですか。
青木 はい。2人とも「見せたがりさん」ですよね。
角田 でもHANDLEって、治田さんから前置き無しにいきなり、すごい試作が出てきた。
治田 はははは!そうでしたかね、はい。裏では試行錯誤してるんですけどね。

角田 そのプロセスを知らないから、どういう経緯でそこに至ったかが全く想像できないんですよ。「なんか急にすごいの出てきた!」としか思えてなくて。
治田 は���は、ではお話しますか。
角田 ぜひお願いします!
青木 これまでの経緯を始めから読みたい方はこちらの目次からどうぞ。
これまでのお話 もくじ
1.ひらめきのタイミング
2.バッグの中身を見てみよう
3.思考の流れを遮らない、最もミニマルなバッグ
4.言わない治田さん
4.言わない治田さん

治田 もともとは、角田さんと青木さんが「HINGEが入るトートバックとか欲しいよね」って雑談してて。たしかその時2人は「ありもののトートバッグにidontknow.tokyoロゴ印刷したら十分じゃない?」とか話してましたよね
角田 あ、なんかいやらしい話をしてましたね。確かに。
治田 2人はノベルティに使われるようなトートバッグとか探してて。その傍らで僕は、オリジナルのバッグを作りたいなあって思ってたのと、実はずいぶん以前から2WAYバッグを作りたいなあと思ってたんですよ。
角田 ふむふむ。長いこと考えてたんですね。
治田 実は長年のテーマでした。それで2人の話を聞いているときに突然「折り紙みたいな思考で変形すれば、理想に近いバッグが作れるかも!」ってひらめいた。

角田 その時、僕と青木さんがロゴ入れトートバッグについて議論してる横で、実はこっそり試作もしてたんですよね。
治田 はい、手元で小さなモックを作ってました。折り方を色々工夫してたら「あ!すごいのできたかも!」って思って。
角田 できたかも!って思って、、、

治田 そっとしまいまし���。
角田 なんで!!!

治田 なんでだろうね?
角田 いや別にね、それは性格の話なんで「思いついたらすぐ見せてよ!」って無理強いしたいわけじゃないんだけど。例えば僕だったら、もう思いついた瞬間に言ってしまうわけですよ。
青木 僕もそこはもう、我慢できなくて言っちゃいますね。 でも僕はその時、治田さんが手元でなんか作ってて、どうやら何かに到達したようだぞ?ってことには気づいてたんですよね。
角田 そうなの!?なんでその時に「何作ったの?」って聞かないの?
青木 いや、そこは治田さんと僕は付き合いが長いので。聞かない方がいいのかなと気を使って。
治田 気を使わせてすみません。

青木 じゃあまずは、最初の小さな試作を見せてください。
角田 いまようやくあの時の謎が公開される!



治田 そして家に帰ってミシンで手作りした試作がコレですね。


治田 この時は、袋自体を菱形状に変形させることで、トートからリュックへ行き来できる構造を採用していました。
角田 治田さんのすごいところは、前振りなしに、バッチリなアウトプットがいきなり出てくるわけ。この時も、すごいなあと思って。
青木 もうこれ見た瞬間、僕と角田さんは「これはすごいものが出たぞ!!もう、すぐに商品化しましょう!!」って。
角田 そう、すぐに出そう!って言って。知り合いになりたてだったALLYOURSさんに協力してもらって、量産に向けた試作もたくさん作りましたよね。

青木 でもなぜか治田さんだけがずっと納得しない。
治田 この菱形構造って実は致命的な欠点があったんです。リュックからトートに変形させるときに、カバンの中身を全部出さなきゃいけないっていう。
角田 僕と青木さんは「それでもいいから早く商品化!」って言ってましたね。
治田 そうなんですけど、何かこう、自分が納得できなかったんですよね。それでそのあともずーっと、毎日の通勤電車でずーっと考えてて。


治田 もう、頭が本当に、相当痛くなるくらい考えてました。近年稀にみるほど辛かったですね。

角田 そのね、悩んでる感じが、全然伝わってこなかったから。「治田さん、なんでまだあれを商品化しないの!?」って僕たちはヤキモキしてね。
治田 それである日に、全然違う構造を思いつきまして。

角田 出た、紙のモックアップ。 これも初めて見るやつだ。


青木 これが最終形に近い構造ですね。
治田 この段階で、袋を変形させるのではなく帯を移動させる案に至りました。

角田 それで、ある日の打ち合わせに向かってる道すがら、またいきなり治田さんから最新の試作を手渡されまして。
リュックの状態で渡されたもんだから、持ち手を持った瞬間に「シュパッ」ってトートに変形して。
角田 僕はあのとき純粋に驚いたからね「あれ!?リュックどこいったん?」って。

青木 「手品だ!なにこれ!手品みたい!!」って叫んでましたもんね。
角田 一度は完成に近いものを出していて。周りの仲間もみんな良いって言っている。量産に向けて検討も進んでいる。
それなのに、そこからゼロベースで考え直す。このちゃぶ台返しを一人でできてしまうのが、治田さんのすごいところだよね。
治田 僕ももうちょっと若い頃だったらできなかったんです。
本質的にはどうなんだろう?ってところまで立ち戻ってゼロから考え直せた、このHANDLEのプロセスは、僕自身すごいよかったと思ってます。結果として。

治田 それで完成したかのように思えるんですが、じつはこの時は、持ち手の形状が最終と違うんですよね。
角田 普通のトートバッグの持ち手っぽい処理だね。でもこれだとバックパックにしたときの変形が、ちょっと気持ちよくなかったんだよね。

青木 そうそう。シュパン!じゃなくて、グググ、、って止まる感じになっちゃってて。
角田 「治田さん、ここ、シュパン!ってなるようにできないの?」ってお願いしました。
治田 なかなかキツイ要求でしたね。

青木 さらにここからまだ紆余曲折ありましたよね。
治田 そうですね。そもそも、僕たちは樹脂や金属、木材やガラスなどの経験はあるけど、生地モノはそれほど経験がなかったというのがあります。
青木 普段はゼロベースからすべてのパーツを新規で作ってしまってるんですけど、カバンの業界は、世の中に存在する膨大な素材の中から、生地はもちろんベルトや金具などを1つ1つ選定しないといけない。
角田 「セレクトして組み合わせて作り上げる」っていうのは、本当に独特だと、見てて思いましたよ。

青木 ロゴの位置も最後まで揉めましたよねえ
治田 最初はタグをつけようとしてて。次に袋の部分に印刷しようとしていて。
角田 ボディ部分だと、市販のエコバッグにプリントしたやつみたいに見えてしまうのが嫌だなあとか言ったり
青木 HINGEのヒンジ部分にロゴを入れたように、HANDLEにとって一番の特徴になる部分にロゴを入れたいよねと話し合って、現在の位置になりました。

治田 いやあ、思いつきからここまで、本当に長かったですね。永遠に終わらないかと思えた試作の日々でした。
青木 でも結果的にこんなに革命的なのに、極限までシンプルなものが生まれて!諦めずにいろいろ検討してみるものですね。


治田 どうですか、使い心地は。
角田 すごく調子良いよ。MacBookとHINGEとその他色々なものを入れて、しょっちゅう使ってる。マチがないから薄いものしか入らないのかと思いきや、意外と上着なんかドカドカ入るしね。

青木 帆布のガッシリした感じも頼もしくて良いですよね。使うごとに馴染んでくる感じもするし。
角田 そんなわけで今回は、これまでベールに包まれていた治田さんの秘密が、わずかに明らかになったということで。

治田 ははははは
青木 年内にはまた、何らか新製品も発表したいと思います。
角田 次回をお楽しみに!
HANDLEが気になったら、ここから購入できます。
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